癒着胎盤とはあまり聞きなれない言葉ですが、妊婦さんには知っておいてもらいたい言葉です。
癒着胎盤とは子宮膜や膀胱に癒着している状態なんです。
出産後、誰にでも起こり得る症状で、特に前回の出産が帝王切開ですとリスクが高まります。
ちょっと、怖いですよね。
癒着胎盤の原因を知ることで正しい治療法が分かるかと思いますので、その辺を詳しくご説明していきたいと思います。
私事ですが、私は双子を妊娠しまして、しかも帝王切開で出産しましたので、癒着胎盤になる可能性が高かったのです。
その下に子供を作りませんでしたので、癒着胎盤の経験はないですが、原因と治療法についてはある程度の知識はあったつもりです。
参考にしていただければと思います。
➀癒着胎盤とは何?
普通であれば出産後30分以内に胎盤は自然と子宮から剝がれます。
そして、子宮の外に出て行きます。
子宮の外に胎盤が出て行くと、子宮は収縮して血管が圧迫されることで血が止まります。
この動きが何らかの原因で剥がれずに、子宮内に残ってしまう状態を癒着胎盤と言います。
その場合、大量の出血のリクスが高まり、医者が手で処置をするとなると、陣痛以上の痛みがあるのです。
じゃあ、どうしたら事前に癒着胎盤だと分かるのでしょうか?
それには、超音波やMRIで分娩前診断を行うことも出来ますが、一般的には分娩前診断は出来ないと言われています。
癒着胎盤には4つの種類があります。
➀前置癒着胎盤
➁楔入(せつにゅう)胎盤
➂嵌入(かんにゅう)胎盤
➃穿通(せんつう)胎盤
➁癒着胎盤の原因
癒着胎盤の原因を挙げてみました。
〇前置胎盤
〇先天的な子宮内膜形成不全
〇人工妊娠中絶、胎盤用手剥離、子宮内膜炎
〇帝王切開
〇子宮奇形
〇多産婦
〇粘膜下筋腫
〇子宮腺筋症
この中の帝王切開をピックアップしてみます。
帝王切開で子宮を切開すると、傷が残ってしまいます。
その部分だけ脱落膜が正常に発育できなかったり、欠落してしまったりするために、帝王切開では癒着胎盤が起こりやすいと言われています。
ここにこんな数字があります。
初産で前置胎盤の癒着胎盤が起こる割合 ⇒ 1.14%
前回帝王切開している妊婦さんが前置胎盤の癒着胎盤が起こる割合 ⇒ 37.8%
➂癒着胎盤の治療法とは?
癒着胎盤は予測は出来ないので、出産後に処置するしか方法がないのです。
癒着胎盤で恐ろしいことと言えば、子宮三層に胎盤が癒着していると、剥がれた一部から大量出血する可能性があることです。
大量出血になると出血性ショックを引き起こして、妊産婦が死に至る場合もあるのです。
前置癒着胎盤、嵌入胎盤、穿通胎盤ですと、大量出血になる可能性は高く、動脈血流遮断の処置がとられます。
それでも、血が止まらないケースは母子の命を優先して、子宮摘出を行う場合もあります。
一方、楔入胎盤の場合は出血量が少ないので、その時に無理に胎盤を剥がさずに、経過を見て自然に剥がれるのを待つこともありますし、後日改めて取り剥がすことも出来ます。
予め知ることの出来ない癒着胎盤ですから、分娩してから初めて知ることも多いです。
ですが、説明してきた通り、母体の危険を伴うことですので、知らんぷりは出来ませんよね。
ただ、癒着胎盤になる可能性はとても低いので、必要以上に怖がらずに落ち着いて日々を過ごして大丈夫ですよ。
精神的安定が妊婦さんには一番重要なことです。